コンプレックスセールスで成功したセールスパーソンの行動様式を統計分析した英国人行動心理学者のニール・ラッカム氏により開発・体系化されたセールス技法です。日本においては、79年に当社が販売代理店として事業を開始して以来紹介に努めてきており、特に95年にラッカム氏の著書”Making Major Sales”が「SPIN式販売戦略」(宇都宮直幸氏訳・ダイヤモンド社刊)として出版されたことで反響を呼び、多くの有名企業を中心に広く普及しました。今日も研修関係者の間で優れた営業研修プログラムとして根強い支持を受けています。
単価や総額が高く購入を即決できない大型ビジネスや、ソリューション営業など複雑で簡単に商品の特徴、機能などを説明できないコンプレックスセールスにおいて特に有効です。
今日SPIN®として世界的に広まっているセールス技法は、現在このプログラムの版権を持つハスウェイト社を興したニール・ラッカム氏により開発され、1978年に初めて発表されました。
ラッカム氏は英国シェフィールド大学で研究した行動心理学者で、セールスに成功する技法を探ろうと、日本を含む23カ国で約35000件の販売面談におけるセールスパーソンと顧客の言動を観察する調査を実施しました。その結果、低価格で一度の商談で契約が取れるような単純な商品販売(シンプルセールス)では反論処理やクロージング手法のような伝統的なテクニックが有効だが、継続した商談が必要な、高額で高付加価値の商品の販売(コンプレックスセールス)では効果がないことが確認されました。
そしてさらに、コンプレックスセールスで成功しているセールスパースンの行動を分析した結果、彼らは顧客に対し行当りばったりの質問は決してせず、ある一定の意図に基づく一連の質問をすることで成約率を高めていることが分かりました。つまり、答えていく中で顧客が自分の返答によりニーズに気付かされるような質問を投げかけ、最後にはそのニーズを明確に認識するに至って購入を決定するという流れを作り出していることを発見したのです。
「質問で顧客自らニーズに気付いてもらう働きかけが効果的」、この発見こそがSPIN®理論の原点であり、これをもとにセールス技法として体系化し開発された、初めての科学的な営業研修プログラムがSPIN®です。
SPIN®の根拠
行動心理学者としての学識と大規模な調査により明らかとなった事実を結びつけ、新しいセールス技法として体系化したラッカム氏の着想力には驚くばかりですが、SPIN®開発の根拠となったそうした事実には次のようなことがありました。
コンプレックスビジネスで成功した商談では:
| 1) |
常に顧客が中心となり売り手より多く話している。 |
| 2) |
売り手はよく質問をしており、その質問は戦略的に分類され使い分けられている。 |
| 3) |
商品に関する説明は商談の後半にされており、その際単なる機能、特徴や利点ではなく、顧客固有のニーズを満たす具体的な利益を語っている。 |
また、行動心理学において捉えられている人間の行動特性のいくつかを、SPIN®ではそれぞれ次のように解釈しました。
| 1) |
人は聞くことよりも話す方を好む。→ 従って売り手は聞き役に回るべき。 |
| 2) |
話が弾んだ相手には引き続き会いたいと思う。→ 次回の約束が取れ商談が進展する。 |
| 3) |
他人から説得されるよりも自分の言葉で納得する方を好む。→ 商品説明は後でよい。 |
| 4) |
他人から聞いた話よりも
自分が話したことをより強く覚えている。→ 利益を語るよりも利益を問うべき。 |
SPIN®の優位性
前述の通りSPIN®は、従来すべてのセールスに有効と広く信じられていた「クロージング」などの技法がコンプレックスセールスにおいては無効であることを実証的に検証した上で、これらに代わるべき真に有効なセールス技法として開発されたものです。
あらゆる言語活動の中で最も説得力があるとされる「質問」を、高い実績を上げているセールスパースンの実践的営業テクニックに組み合わせて開発されたものであり、ニーズの認識から購入に至る人間の心理行動が変わらない以上、いかに経済環境が変化しようともその有効性が失われることはありません。
さらに、近年大きく広まっているソリューションビジネスと呼ばれる提案型ビジネスはまさにコンプレックスセールスであり、SPIN®が世に出て30年の今日も全くその価値を失うことなく、効果を発揮するビジネス形態はむしろますます広がっているといってよいでしょう。